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とあるナンパ師の1日

クラナンに敗れて残党刈り、私にとってよくある日常だ。

そんな時は酔いもあって酷を連れて帰ることが多々ある。

めっちゃ目がクリクリした可愛い子を捕まえたと思って翌朝起きたらガチャピンだったこともある。

容姿なんて服装と雰囲気で何とでもなる。可愛いは作れるし、オーラでイケメンを装うこともできる。

でもそれでもどうにもならない事もあるのは何となく分かってるつもりだった。そんなのは例外中の例外で考える必要なんかないと思っていた。

 

昨夜は西麻布の箱にいた。最近できたばかりでピークタイムでも人はそんなに入ってない。私は早い時間に連れ出せそうな案件を確保してたが友達グダがどうしても崩せず苦戦していた。この案件に早めに見切りをつけて他を探しに行くも、2人組ばかりで私の腕では逆3連れ出しまではいかない。

諦めていつものように早朝の残党刈りに出ることにした。

 

始発が近いこともあって人はそれなりにいる。即りたいからスペックは気にせずソロの案件のみサクサク声をかける、ガンシカされたら粘らない。

余裕が無いのを見透かされてるのか反応が悪い。

こりゃクラブから出てきたばっかりの子をテンション高めに行った方がいいかなと思い某クラブ前に移動。うん、ソロもいっぱいいるこりゃいけそうだと思い景気づけにナンパされてた強めのギャルにいった。

ヒールを抜きにしても多分私より身長は高い。

「お姉さん、今日はナンパされ尽くしたでしょ?」

「うーん、そうですね」

「最後にもう一本ナンパされときます?」

「笑」

お、意外に反応がいい。

「明日休みでしょ?もう一杯飲んでこうよ」

ですんなり連れ出せた。

長めの金髪、強めのアイライン、柄々な服。

暗がりな通りで見ても正真正銘のギャルだ。

クラブの感想を聞きつつ居酒屋に向かう。

明るい店内に入って私はギョッとした。彼女の鼻と口元が異様なのだ。原因は何となく察した。

整形に失敗したのだろう。

顔面移植手術の写真を見た時の違和感。

暗がりじゃそれに全く気づかなかった。

実際彼女は俺の前に何人かにナンパされていた。

ダルそうにキッチンから出てきた店員も彼女を見てギョッとしている。

 

しくったなぁ、一杯飲んだらとっとと出よう。

 

そう思って席に着く。ワイワイ飲んでた周りの輩が彼女の容姿に気づいて奇異の視線を向ける。

彼女はそれに気づいたのか端っこの席に座りたいと言い出した。

移動する間店内の視線が彼女に向いてる。ちょっと異様な雰囲気だ。

すげー恥ずかしい。早くここから逃げ出したい。

 

話してみると彼女はとてもいい子だった。感受性が強く、思いやりがあって、ちゃんと他人に気を使える。話題の選び方が巧妙で、よく笑うとても面白い子だ。

ただ彼女の特性がどこから来ているのか想像せずにはいられなかった。

彼女と対峙してると視線が鼻と口元にいってしまう。会話のリアクションが普通じゃない気がする。必死に普通のリアクションをとろうとしてみる。彼女の目だけを見て話そうとする。とても綺麗な目をしていた。

 

だんだん一杯だけで出ることに罪悪感を感じてしまい、つい2杯目を頼んでしまう。

彼女がトイレに立った。

周りの会話が聞こえてくる。

「あの子何だろ?」

「あの人彼氏かな」

結構デカイ声だ。彼女にも間違いなく聞こえた。

何かすげームカついた。

 

帰って来た彼女を必死に笑顔にさせようと会話に熱がこもる、必死に自然を装う。

彼女の携帯が鳴った。友達からだった。

「友達から呼び出されたから行かなきゃ。」

心からホッとした自分がいた。

 

お会計を素早く済ませ、お店を出る。

お店の階段で彼女が動かなくなる。何かどうでもいい話を始める。

番号を聞いて欲しいんだということがすぐに分かった。会話を適当に流し終わらせようとする。

とうとう彼女は自分から番号を聞いてきた。

断れずに教えてしまう。

絶対に連絡しない、返信しない番号。

「今日はとても楽しかったよ、ありがとう」

彼女が悲しい目をしながら言った。

その時俺が隠してたつもりのことが全部バレてたんだと分かった。

あの店内で一番残酷だったのは俺だ。

「またね」

足早に帰路につく。

歩道橋を渡ってる時携帯がなる。気が重くなる。

「お兄さんおつかれさま(^-^)/」

クラブで番ゲした子からだった。

一緒に撮った写メも送られてくる。

自分のアホ面が写っていた。

 

(この物語はフィクションです)